無添加化粧品の定義と本質
今や巷に溢れている『無添加化粧品』。
無添加化粧品というだけで
「安全・安心」
「肌にやさしそう」
「敏感肌でも使えそう」
というイメージが湧きますが、本当にそうなのでしょうか?
今回は「無添加化粧品って何でしょう?」という定義とその本質について『正直なところ』のお話です。
【無添加化粧品の定義って?】
『無添加』とはその名前のとおり、「入っていない」「使っていない」ということですが、何を入れていない、何を使っていないのでしょうか?
実は化粧品の世界において『無添加』という言葉に決まった定義はなく、各化粧品メーカーが独自の基準で『無添加化粧品』を謳っています。
単純に『無添加』といってもA社の無添加とB社の無添加は違うことがある、ということです。
一般的なのは『旧表示指定成分』という成分を使っていない化粧品を『無添加化粧品』と呼んでいるケースです。
旧指定表示成分を使っていながら無添加化粧品と標榜している化粧品はあまりないですが、その場合は『○○無添加』とはっきりと書いてあることがほとんどです。
【旧表示指定成分とは?】
もうずいぶん前の話になりますが、2001年4月まで、アレルギー等の危険性が高いと思われる100品目ほどの成分について、化粧品への表示が義務付けられていました。
これらの成分を『表示指定成分』と呼んでいました。
この頃は今と違い、化粧品にすべての成分を記載する義務はありませんでした。
ですので「留意が必要な成分は商品に書いておきなさい」ということだったのです。
ですが2001年4月から法律が改正され、化粧品に含まれているすべての成分を商品に表示することとなりました。
厳密に言うとすべての成分が商品に記載されているとは限らないのですが、基本的にはすべて記載することとなったため、わざわざ『表示指定成分』と特別扱いする必要がなくなってしまいました。
これには「すべての成分が書かれているので、自分に合わない成分が入っているかどうかがわかって安全でしょう?」という趣旨がありましたが、一方で「すべての成分が書かれているので、自己責任で選びなさい」というようにも思えます。
とにかく、こうして表示指定の制度自体がなくなってしまったため、今ではそれらの成分を『旧表示指定成分』と呼んでいます。
Column:化粧品と『パラベンフリー』
【旧表示指定成分は危険なの?】
100品目ほどの旧表示指定成分ですが、その成分は様々で一律に肌に対するリスクは語れません。
「こんなものそもそも化粧品に使うの?」と思ってしまう物質から「表示指定だったけど、言うほど危険ではないのでは?」という物質もあります。
表示指定成分の制度ができたのは1980年、当時と現在では情報の蓄積が進んだことなどから成分の危険性に対する考え方も変わっていますし、また、どれくらいの量を配合するかによっても、肌に対するリスクは変わってきます。
ですので、旧表示指定成分を使っているからといって「危険である」とは一概に言えないのです。
【『無添加化粧品』をどう考えればいいの?】
結論として『無添加化粧品』だということだけで、その化粧品が安全かどうかは判断できません。
旧表示指定成分を使っているからといって危険とも言えませんし、旧表示指定成分を使っていないといっても、その後新たにつくられた化粧品成分で肌への危険性のある成分が入っていたら意味がないからです。
また、そもそも成分が「どれくらいの量で」配合されているかにより、その成分の効果も危険性も変わってきます。
そのことを考えずに「この成分が入っているから…」ということを言っても、あまり意味がないのです。
Column:誰も言わない『基礎化粧品の選び方』
現在、旧表示指定成分を使わずに化粧品をつくることは、日本全国どこの化粧品会社でも可能です。
『無添加化粧品』は、どんな化粧品会社でもつくることができるのです。
無添加化粧品をつくっていない化粧品会社は、「つくれない」のではなく「つくらない」だけ、もしくは旧表示指定成分を使っていなくても「無添加化粧品です」と言っていないだけです。
安全な化粧品なのかどうか、敏感肌に使えるのかどうか、といったこと考える際には、「無添加化粧品です」というだけでは保証にならない、と考えたほうがいいでしょう。
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LABORATORY No.7