LABORATORY No.7 あなたはまだ肌の可能性を知らないかもしれない。薬学から生まれた革新のエイジングスキンケア

化粧品と『パラベンフリー』

化粧品とパラベンフリー 
化粧品で『無添加化粧品』と同じくらいよく目にする『ノンパラベン』『パラベンフリー』。
 
近年、シリコーンを使っていないノンシリコーンシャンプーが大流行しましたが、『ノン』とか『フリー』と言われると、「悪いものを使っていません」というイメージがありますよね。(ちなみによく『ノンシリコンシャンプー』と言われますが、「ノンシリコン」は間違いです。正しくは「ノンシリコーン」です)
 
「シリコーンと同じようにパラベンもよくわからないけれど、使っていない、というからには悪いものなんでしょう?」と思われがちですが、パラベンとは何者で、使っていると本当に悪いのかどうか。
 
今回はそれについての『本音』のお話しです。
 
 
 
 

【パラベンとは?】

 

パラベンって何? 
『パラベン』とは、化粧品や食品に使われる防腐剤の略称です。
 
正式な名称は『パラオキシ安息香酸○○』。
 
いくつかの種類があり、パラオキシ安息香酸○○と記載されていることもあります。
 
これを知らないと、実は化粧品の表示を見ても本当にパラベンが入っているのかどうか、わからないのです。
 
パラオキシ安息香酸メチル = メチルパラベン
パラオキシ安息香酸エチル = エチルパラベン
パラオキシ安息香酸プロピル = プロピルパラベン
パラオキシ安息香酸ブチル = ブチルパラベン
 
他にもパラベンはありますが、よく使われているものだと上記のパラベンです。
 
どの種類かを特定せず、単に「パラベン」と記載することも多いです。
 
 
 
 

【なぜ『パラベンフリー』化粧品があるの?】

 

なぜパラベンフリー化粧品があるの? 
『ノンパラベン』『パラベンフリー』というのは「パラベンを使っていません」という意味で、言葉は違いますがどちらも意味は同じです。
 
要は化粧品の成分の中で悪者というイメージがついているのですが、これはパラベンが過去に、アレルギーが懸念されるという『旧表示指定成分』だったからというのがひとつ、また、一部の化粧品会社がパラベンの悪影響を大々的に宣伝した、というのがひとつの理由と思われます。
 
以来、「パラベンを使っていません」とアピールした化粧品が世の中にたくさん出てきました。
 
 
 Column:無添加化粧品の定義と本質
 
 
 
 

【パラベンは本当に肌に悪いの?】

 

パラベンは本当に肌に悪いの? 
では、パラベンは本当に化粧品に入っていると悪いのでしょうか?
 
これについては化粧品業界でも議論が分かれますが、現在の大勢は『パラベンは安全』というほうに傾いています。
 
 
理由は、もう何十年も広く使われていてたくさんの情報が蓄積されているのに、問題視されるような健康被害が出ていないからです。
 
医薬品の世界においてもパラベンは非常に広く使用されています。
 
病院で処方される軟膏やクリーム、ローションにはほぼ必ずといってよいほど使われていますが、やはり健康被害は出ていません。
 
 
パラベンの作用は、菌の繁殖を抑える『防腐』です。
 
水分の入っている化粧水は放っておくと菌が繁殖して腐ってしまうので、ほぼ必ず『防腐剤』が入っています。
 
「うちの化粧品は防腐剤を使っていません」という化粧品会社もありますが、本質的には『防腐効果』と『保湿効果』の両方の作用を持った成分を「保湿剤です」と言っているだけで、防腐効果のある成分は実は入っています。(ごくまれに、本当に防腐剤を入れていない化粧水などがあります。こういったものは完全密閉のスプレー式などにして雑菌の混入を完全に防いでいます)
 
「化粧品には基本的に防腐剤を使わなくてはいけない」という視点で考えたとき、パラベンが他の防腐成分に比べて肌に危険性がある、ということは言えず、パラベンは少ない使用量で防腐効果が期待でき、かつ、防腐効果が長期間持続する優れた防腐剤である、という認識が一般的なのです。
 
 
 
 

【『パラベンフリー』化粧品に使われている防腐剤は?】

 

パラベンを使わないときによく使われる防腐剤としてはフェノキシエタノールという成分がありますが、パラベンに比べて安全という明確な根拠はありません。
 
また『防腐剤不使用』を謳い文句としている場合、エチルヘキシルグリセリン、ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、ヒノキチオールといった成分が使われることが多いです。
 
これらの成分は保湿効果と防腐効果を持っているため「保湿剤」として配合されていることが多いですが、いずれも肌に対する刺激性があります。
 
正直、それらの成分を使わなくても保湿効果は簡単に出せます。
 
だから本当は防腐目的で配合しているわけで、消費者に向けてこれらの成分を「保湿剤です」と言い切るのはどうなのか?と思います。
 
また、いずれの成分についても、どれくらいの量が使われているか?ということを抜きにして、その効果や危険性を語ることはできません。
 
使われている量を無視して「パラベンとフェノキシエタノール、どっちが危険?」と結論は出せないのです。
 
 
 
【『パラベンフリー』化粧品をどう考えればいいの?】

 

パラベンフリー化粧品をどう考えればいいの? 
結論として、「パラベンフリーです」というアピールは無視したほうがいい、ということになります。
 
 
化粧品には防腐剤が必要ですが、大切なのは「化粧品が腐らない」ことと「肌のために防腐剤の量を最低限に抑える」ことの両立です。
 
「より少ない防腐剤で、かつ腐らないようにつくられている」というのがすぐれた化粧品ということになります。
 
 
例えばですが、ジェルをつくるとしましょう。
 
そのジェルがジャー容器に入って売れらるものであれば、指を入れることを想定するので、防腐剤の量はそれなりに入れないといけないかも知れません。
 
ですが、これがポンプタイプの容器に入って売られるものであれば、雑菌はあまり入らないので、それほど防腐剤を入れる必要はなくなってきます。
 
 
本当はそういった繊細なことを考える必要があるので「パラベンフリーです」のひとことでは何もわかりません。
 
むしろ「パラベンフリーなので安全です」なんて言っている化粧品会社は信用できないのかも知れません。
 
 
ちなみに、防腐剤の数と量が適切かどうか、多すぎたり少なすぎたりしないかどうかは、残念ながら化粧品を外から見ても判断できません。
 
ただ、基礎化粧品で詰め替えがあるものについては少し注意が必要です。(下記のコラムのポイント6に記載があります)
 
 Column:誰も言わない『基礎化粧品の選び方』

 
 
 
 
お読みいただき、ありがとうございます。
 
化粧品の世界は、様々な情報が溢れているわりに「本当のことは何なのか?」がとてもわかりにくい世界ですので、今後も理論的な情報をフラットなスタンスで発信していきたいと思っています。
 
 
 
《関連Column一覧》
 
誰も言わない『基礎化粧品の選び方』
 
無添加化粧品の定義と本質
 
化粧品の合成界面活性剤あれこれ
 
 
 
Thanks for reading to the end
 
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