LABORATORY No.7 あなたはまだ肌の可能性を知らないかもしれない。薬学から生まれた革新のエイジングスキンケア

化粧品の合成界面活性剤あれこれ

化粧品の合成界面活性剤あれこれ 
化粧品に入っていて欲しくない成分No.1。
 
『合成界面活性剤』
 
 
これは、あるひとつのアンケート結果です。
 
ですが『合成界面活性剤』という選択肢がアンケートになくても「あれ?合成界面活性剤が選択肢にないんですけど…」と思う人はあまりいないでしょう。
 
 
言われてみると「なんか、からだに悪そう…」というイメージが真っ先にくるのに、言われなければ気にもならないほど「なんだかよくわからない成分」でもあります。
 
化粧品の世界には単に『界面活性剤』というだけではなく『合成界面活性剤』『石油系界面活性剤』など、色々な名前で呼ばれる界面活性剤がありますが、今回は「合成界面活性剤を使っていません」とか「石油系界面活性剤フリーです」という謳い文句をどう捉えたらいいのか?ということについて『あのね』の話です。
 
 
 
 

【そもそも界面活性剤ってなんでしょう?】

 

そもそも界面活性剤ってなんでしょう? 
『水』と『油』。
 
ことわざにもなるくらい、混ざりにくいものです。
 
ドレッシングは、きれいに水と油に分離していますね。
 
ラーメンのスープも時間が経つと油のかたまりが浮かんできます。
 
 
ですが、この水と油をきれいに混ぜることができる物質があります。
 
その水と油を混ぜる作用を『界面活性作用』と呼び、その作用を持った物質を総称して『界面活性剤』と呼んでいます。
 
 
『石けん』はこの界面活性剤の一種です。
 
 
世の中には数えきれないほどの界面活性剤があり、洗剤や化粧品のみならず、食品の分野でも普通に使われています。
 
日常的に、私たちは界面活性剤を食べています。
 
 
「なんか危険そう…」というイメージがあるかも知れませんが、実は界面活性剤はとても身近に存在している物質なのです。
 
 
 
 

【その界面活性剤は『合成』?『石油系』?】

 

その界面活性剤は『合成』?『石油系』? 
では『合成界面活性剤』とは何でしょう?
 
それは言葉のとおり『合成』された『界面活性剤』です。
 
 
界面活性剤はそれ自体の中に
 
水で溶ける性質の部分(親水基といいます)と
 
油に溶ける性質の部分(疎水基、もしくは親油基)を持っています。
 
 
多くの界面活性剤は、この「水に溶ける部分」と「油に溶ける部分」をくっつける(=合成する)ことによってつくられます。
 
化粧水やクリーム、ファンデーションなど、化粧品に使われるほとんどの界面活性剤は、こうしてつくられる『合成界面活性剤』です。
 
 
一方、『石油系界面活性剤』もしくは『植物系界面活性剤』という言葉があります。
 
これは「合成されているかどうか」に関係なく、その界面活性剤が石油由来の原料でつくられているのか、植物由来の原料でつくられているのか、ということです。
 
 
 
 

【「○○系」の定義はどうなっているの?】

 
「合成」界面活性剤とは何か? と
いうことがわかったところで、ひとつ問題です。
 
 
石油由来の親水基
石油由来の疎水基を合成したら、それは石油系の合成界面活性剤です。
 
1.石油石油石油
 
 
植物由来の親水基
植物由来の疎水基を合成したら、それは植物系の合成界面活性剤です。
 
2.植物植物植物
 
 
では、石油由来の親水基植物由来の疎水基を合成したら、それは何になるでしょう?
 
3.石油植物
 
 
 
答えは、単なる『合成界面活性剤』です。
 
これは石油系とも、植物系とも言えません。
 
すべての界面活性剤が「石油系」か「植物系」かに分類されるわけではないのです。
 
 
ですが、ここまでお話ししたのは一般的な考え方であり、実は界面活性剤の化粧品の表示について、公的なルールはありません。
 
 
何を「合成界面活性剤」とするのか、また何を「石油系」にするのか、それは各化粧品会社の考え方に委ねられています。
 
「合成界面活性剤を使っていません」と標榜していたとしても、本当に上記の1~3まで使っていない会社から、「ウチの会社は石油系のものだけを合成界面活性剤と定義しています」(要は1以外は使っている)という会社もあるでしょう。
 
 
 
 

【合成界面活性剤をどう考えたらいいの?】

 

合成界面活性剤をどう考えたらいいの? 
ここまでお話ししたとおり、界面活性剤はある性質を持った物質の総称です。
 
ですので、界面活性剤にはとてもたくさんの種類があり、人体に対して危険度が高いものから、日常的に食べても大丈夫なものまで、様々です。
 
 
スキンケア化粧品において界面活性剤は、油性の成分を化粧水に溶かしたり、水と油を混ぜて乳液やクリームをつくる目的で使用されていますが、肌に対する危険性が高いと疑われる界面活性剤は、当然、敬遠される傾向にあります。
 
そういう観点では、そこまで化粧品に入っている界面活性剤を気にしなくてもよい、ということも言えますが、一方で「界面活性剤」は「安定化剤」や「防腐剤」と同じように「本来は肌に塗る必要がない」成分でもあります。
 
「化粧品の中身を長持ちさせる」といった視点で見ると界面活性剤は重要な成分ですが、「肌に塗る」という視点で見ると「入っていないに越したことはない」と言えます。
 
 
ですので
 
「界面活性剤を使っていません」もしくは
 
「合成界面活性剤を使っていません(上記の1~3を使っていない)
 
というときは「それがどれくらい肌によいかわからないけれど、考えてつくられている化粧品なのね」という捉え方でいいでしょう。
 
界面活性剤の使用を制限すると、長期間の保存性や使用感などに影響が出るので、その化粧品はそういったことよりも、界面活性剤の肌への影響を優先していると考えられます。
 
 
「石油系界面活性剤を使っていません(上記の1を使っていない)
 
というときは、残念ながらそんな化粧品は世の中に溢れているので「イメージであおっているだけ」と考えていいでしょう。
 
 
 
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