化粧品の原価はどれくらい?
一般的に原価が低いと言われている化粧品の世界。
「安い化粧水なんて水と変わらない」というような過激な発言を耳にすることもあります。
ですがそう言われても、どうしたらよい化粧品を選べるのかは簡単にはわかりません。
今回は、化粧品の価格構造や、原価と美容効果についての『裏事情』のお話です。
「化粧品の夢を壊さないで!」という方は、読まないでくださいね。
【ズバリ、化粧品の原価はどれくらい?】
『化粧品』とひとことで言っても、実は様々なものが『化粧品』に含まれます。
化粧水、クリームなどのスキンケア
石けんやクレンジングのような洗い流しもの
ファンデーションや口紅、アイライナーといったメイク品
日焼け止め
シャンプーやボディソープ
ハンドクリーム、ハンドソープ
歯磨き粉…
また100円ショップで買えるものから、数万円の高級化粧品まで。
あまりにカテゴリや価格帯が多岐に渡るので一律には言えませんが、化粧品の製造原価はだいたい15%~25%くらいです。
あいだを取って20%としましょう。
1,000円の化粧水を買うとき、200円が製造原価です。
製造原価はその化粧水をつくる原価のことで、以下のものが含まれます。
・中身の原料費
・容器代、パッケージ代
・実際に化粧水をつくるための製造工賃(人件費や設備費)
では残りの800円は?
ということで、ついでにお話ししますと、販売経路と化粧品会社がそれぞれ40%前後を取ります。
200円でつくられた化粧水は、化粧品会社から600円で販売店に卸され(化粧品会社の利益400円)、店頭で1,000円の値段で売られます(販売店の利益400円)。
【純粋な中身のお値段は…?】
では、1,000円で販売される化粧水が200円でつくられるとしたとき、純粋な中身の値段はいくらでしょう。
心情的には200円のうちほとんどが中身の原料費であってほしいと思いますが、実際は、むしろその逆となってしまいます。
なぜかというと
・製造工賃(人件費、設備費など)は、固定で発生してしまいます。
・容器や箱は、容器メーカーや紙資材メーカーなど外部から仕入れるので、コストダウンにも限界があります。
また、パッケージの見栄えはよくしないと商品が売れなくなるので、パッケージにはある程度お金をかけなくてはなりません。
そうすると自然と「中身を安く仕上げるのが最も簡単」ということになってきてしまうのです。
200円で化粧水をつくろうとしたとき、純粋な中身の原料費はほんのわずか。
10円~2、30円程度で、容器代よりもずっと安い、ということも普通にある話です。
【中身の原料費と美容効果の関係】
化粧品がしっかりとその美容効果を発揮するためには、単に美容成分が入っているだけでなく、『効果を出す量で』入っている必要があります。
では、例えば30円くらいの原料費で化粧水をつくろうとしたとき、それは可能なのでしょうか。
結論から言うと、それはかなり難しいと言わざるを得ません。
少し話がそれますが、化粧品の美容成分には『推奨濃度』というものがあります。
『推奨濃度』とは、その字のとおり「推奨」される「濃度」のことで、簡単にいうと「この美容成分が効果を発揮するためには●●%くらいの濃度(濃さ)で化粧品に配合してくださいね」というものです。
化粧品に使われるすべての美容成分にこの『推奨濃度』があるわけではないですが、それは成分によって10%だったり、0.01%だったりと、様々です。
具体的には
「このビタミンC誘導体がシワとシミに効果を発揮するためには1%の濃度が必要です」
とか
「この植物エキスはハリ感を出す目的で使うなら0.1%、保湿目的なら0.3~0.5%で配合してください」
という感じです。
ですがそこで問題となってくるのが、美容成分のコストです。
美容成分によって価格は様々ですが、きちんと推奨濃度で美容成分を配合しようとすると、かなりコストがかかります。
例えば100ml(約一ヵ月分)の化粧水をつくるとして、ビタミンC誘導体のAPPSを推奨濃度で配合すると650円、サクランという保湿成分を推奨濃度で配合すると563円というコストがかかってしまいます。
これらの成分は美容成分の中でも高価な成分ではありますが、推奨濃度で美容成分を配合しようとすると、1つの成分につき数十円~数百円はかかってしまうのです。
話を戻して、原料費30円で化粧水をつくらなければいけないとします。
ですが「APPSとサクラン配合の化粧水」として売り出したい、となると、どうなるのでしょう。
「APPSを6円分、サクランを5円分入れて、あと19円分で化粧水に仕上げよう」と、30円の原料費で化粧水ができあがることになります。
パッケージにも「APPSとサクラン配合の化粧水」と書いてありますが、APPSとサクランは推奨濃度の1/100しか入っていません。
当然、美容効果は期待できません。
Column:誰も言わない『基礎化粧品の選び方』
「同じような成分が入っているのに、なぜこんなに値段が違うのだろう?」
「こんなにたくさんの種類の美容成分が入っているのに、なんでこんなに安いのだろう?」
化粧品の値段と、化粧品の良し悪しの関係がよくわからない理由は、ここにあります。
化粧品は美容成分の『配合量』がほとんど開示されていません。
だからなんとなく「高い化粧品だから良い化粧品なんでしょう?」という選び方になってしまいますが、それはその化粧品メーカーがきちんと中身の原料費にお金をかけている、ということが前提です。
実は豪華な容器代と、大々的な広告費のせいで化粧品が高いだけで、中身の原料費は…という可能性だってあるわけです。
『化粧品の原価』
それは化粧品の効果とも密接に関係している、とても悩ましい問題なのです。
申し訳ないのですが、最後にわたしたちの話を。
わたしたちは本当に良い化粧品を世の中に広めるため、いくらコストがかかっても美容成分を推奨濃度で配合して化粧品をつくり、その配合量から原価までオープンにしてお届けしています。
また、そこまでオープンにしてお届けするわけですから、化粧品自体にも流通方法にも様々な工夫を凝らし、化粧品の中味、価格ともに圧倒的なメリットをご提供しています。
(広告にハムスターを起用しているのも、実はコストダウンの一環なのです)
きれいな肌でいるために、わたしたちが創った『化粧品の新しいかたち』
一度、詳しく見てみませんか?
(もしご興味がなくても、この記事が何かのためになれば幸いです)
お読みいただき、ありがとうございました。
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Thanks for reading to the end
LABORATORY No.7