日焼け止め おすすめの選び方
GWも終わり、梅雨の時期が近づいてきました。
その梅雨が終わると、紫外線に特に気を使わないといけない季節『夏』がついにやってきます。
美容意識の高い方は冬でも紫外線カットに気を使っていると思いますが、夏になると多くの人が『紫外線』を気にし始めます。
LABORATORY No.7には日焼け止めはないのですが「日焼け止めはどうやって選べばいいですか?」というご質問をいただいたりすることもありますので、今回は紫外線のことから日焼け止めのことまで『そうなんだ』という、ひと味ちがったコラムです。
紫外線にも種類があります
まずは『紫外線』というものについての話からです。
紫外線とは何なのか?を知ってもあまり生活の役には立ちませんが、紫外線にも『種類』があるという話は、あとにお話しする日焼け止めの選び方にも関わってきます。
さて『紫外線』とは何か?ですが、紫外線とは『光のひとつ』だと考えてください。
光には波長がありますが、その波長の違いで日光は紫外線、可視光線、赤外線に分かれます。
7色の可視光線の両端は紫と赤ですが、波長が紫より短ければ「紫外線」といい、赤より長ければ「赤外線」といいます。
紫外線とか赤外線とかがなぜこんな名前なのかが、色で考えるとわかりますね。
ちなみにUVとは『Ultra Violet』の略です。
直訳すると『超紫』となりますが、やはり色で見るとニュアンスがわかりやすいですね。
この紫外線ですが、波長によりUV-A(紫外線A波)、UV-B(紫外線B波)、UV-C(紫外線C波)に分けられています。
UV-Cはオゾン層に阻まれ私たちのところまでは到達しませんが、UV-A、UV-Bは私たちの肌まで届き、影響を及ぼします。
紫外線『UV-A』と『UV-B』の肌への影響
では、このUV-AとUV-Bですが、私たちの肌にどういう影響を及ぼすのでしょうか?
実はこのUV-AとUV-Bですが「肌のどの部分に影響を与えるか」また「どういう影響を与えるか」という点で異なっています。
便宜上UV-Bからお話ししますが、UV-Bは主に肌の表面近くに影響を与えます。
肌の表皮にはメラニン色素をつくる細胞(メラノサイトと呼びます)が存在しますが、UV-Bがこの細胞を刺激することによりメラニン色素がつくられます。
UV-Bにより過剰にメラニン色素がつくられ、その色素が肌に沈着すると、シミやそばかすの原因となります。
UV-Aは表皮を通り越し、肌の奥にある真皮に達します。
UV-Aはタンパク質の性質や形を変えてしまう作用があるので、タンパク質であるコラーゲンや細胞のDNAに影響を与えます。
UV-Aによりコラーゲンの形が変わってしまうと、肌のハリや弾力が落ち、長期的にはシワなどの原因となります(いわゆる『光老化』と呼ばれる現象です)。
また、UV-Bの刺激によってつくられたメラニン色素を酸化させ、肌の色を黒くする作用(サンタンと呼ばれる日焼け)があります。
化粧品のUVカットは2種類
UV-Bはシミになるし、UV-Aはシワになる。
美容面からするとひどいことだらけの紫外線ですが、まったく悪いことばかりでもありません。
UV-Bを浴びると、肌でビタミンDが合成されます。
ビタミンDはからだへのカルシウムの吸収を促進するので、ビタミンDが不足すると骨が弱くなる病気になったりもします。
そういったこともあってか、だいぶ前までは国としても日光浴を推奨していましたが、オゾン層の減少といった環境の変化や考え方も変わり、今は健康面からも紫外線をできるだけ浴びないようにすることが重要視されています。
現在の日本の食生活からすれば別に紫外線を浴びなくてもビタミンDを不足させないことはできるでしょうから「紫外線をなるべく浴びないようにする」という方向性は妥当と言えるでしょう。
では化粧品におけるUVカットに話を進めていきましょう。
化粧品のUVカットには、2種類の指標があります。
ひとつは『SPF』、もうひとつは『PA』です。
『SPF』とはSun Protection Factor(紫外線防御指数)の略で、UV-Bをカットする効果を表していると考えてください。
SPFは2~50で表され、それ以上高い効果があるものは『50+』と表示されています。
ある化粧品のSPFが30だったとしたら、素肌に「1」の強さの紫外線を浴びたときの日焼けが、化粧品を塗った場所に「30」の強さの紫外線を浴びた日焼けと同じ、ということになります。
わかりにくいですね。
もっとざっくりと言いますと「1」の強さの紫外線を「1/30」まで弱めてくれる、ということになります。
『PA』はProtection Grade of UV-A(UV-A防御指数)の略で、UV-Aをカットする効果を表しています。
PAはPA+、PA++、PA+++、PA++++の4段階で表されています。
試験方法はSPFとほとんど同じで、実はPAにも数値があるのですが、SPFの測定に比べて精度が落ちるためか数値ではなく、日本ではPA+(効果がある)~PA++++(極めて効果がある)の4段階の表示となっています。
UVカット指数からの日焼け止めの選び方
さて、化粧品のUVカット指数には2種類あることをお話ししましたが「日焼け止めを選ぶとき、数字しか見ていなかった」という人は多いのではないでしょうか。
どうしても片方は『数字』で、片方は意味のわからない『+の数』なので「数字が大きければいいよね」と選びがちです。
ですが、これまでの話を考えてみてください。
『+の数』で表示されているPAは、シワや肌のハリ・弾力の低下、光老化の原因になるUV-Aをカットする指数です。
実は肌の健康や美容にとって、非常に重要な指標だということがわかりますね。
SPFが50+の最高値であっても、PAが+(効果がある)では、紫外線カットとしては片手落ちになるのです。
先ほど、実はPAにも数値があるとお話ししましたが、これはPPD値といい、欧州ではこのPPD値がSPF値の1/3ないと、よい日焼け止めではないと考えられています。
UV-Bのカット効果とUV-Aのカット効果のバランスが取れていないと日焼け止めとして優れていない、という考え方です。
PPD値とPAの関係は次のとおりです。
PA+(効果がある):PPD 2~4未満
PA++(かなり効果がある):PPD 4~8未満
PA+++(非常に効果がある):PPD 8~16未満
PA++++(極めて効果がある):PPD 16以上
ここから考えると、SPFが50+あるならPPD値は50の1/3、すなわち16.7必要ということで、PA++++でないと合わない、ということになります。
日本の日焼け止めではPPD値は公開されておらず、正確にSPFとPAのバランスを把握することはできませんが、欧州の考え方を参考に、概ねSPFの数値10に対してPAの『+』の数が1個(例えばSPFが30ならPAは+++あったほうがいい)という選び方をしてもいいかも知れません。
次回は、化粧品で紫外線カットに使われる成分の話や、値段や使用感から見た日焼け止めの選び方について、お話しできればと思います。
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LABORATORY No.7