“肌荒れの対処”と“化粧品”の考え方
こんにちは。LABORATORY No.7のよっしーです。
また季節の変わり目、肌が不安定になる時期に入ってきました。
なぜ季節の変わり目に肌が不安定になるのかというと、これは肌の生まれ変わりに関係しています。
私たちのからだは外的な環境に対応して変化していきますが、肌も湿度や温度といった外部の環境に対応しながら生まれ変わっています。
この肌の生まれ変わりは「ターンオーバー」と呼ばれ、そのサイクルは28日と言われていますが、季節の変わり目には、温度や湿度の変化が速く、季節が変わるスピードに28日という肌の生まれ変わりが追いついていかないのです。
季節が変わりきって外部環境が安定化すると、肌の生まれ変わりがそれに追いついてきて、また肌の状態は安定します。
こういうことを考えると「季節の変わり目に肌が荒れる」という方がそれを防ぐのは、とても難しいことだと言えます。
では、肌が荒れ気味のとき、化粧品はどうすればいいのでしょう?
たまに「肌が荒れ気味だけど、どうしたらいいでしょう?」という質問を受けますが、たしかに自分でどう判断したらいいのかは、難しい話です。
化粧品から医薬品の話までを網羅している情報があまりないので、今回は肌荒れと化粧品、さらには医薬品まで『総合的』なお話しをしたいと思います。
※今回のコラムはLABORATORY No.7の代表の薬剤師が監修していますが、肌トラブルに関する対処方法は一律ではないので、このコラムの内容に対して異なる意見もあるかもしれません。ご理解のうえ、お読みください。
【肌が荒れているときの化粧品の使用】
「肌荒れ」とひとことで言っても、その状態は様々です。
ここでは大まかに「ピリピリ感、しみる感じ、その他刺激感がある」という軽いレベルと「赤み、発疹が出た」という重いレベルに分けてお話しします。
それぞれのケースのとき、LABORATORY No.7でおすすめする対処は次のとおりです。
1.初めて使用した化粧品でピリピリした感じ、しみる感じがする。
⇒肌が荒れている場合、多くの化粧品でこういった症状が出ます。
肌のバリア機能が弱まっていると、通常では刺激を感じない成分でも刺激を感じることがあります。
こうした状態では、初めて使った化粧品が肌に合わないのかどうか、正確には判断できません。
また、その化粧品を使っていて症状が回復する場合もあります。
ですので、すぐにその化粧品をやめるのではなく
①2~3日使用して肌の様子を見る。
②とりあえず中止して、肌の状態がよいと思われるときにもう一度使用してみる。
というどちらかをおすすめします。
「肌が弱っているかも」と思うときは②、そうでないときは①をおすすめします。
①を選択して、2~3日使用後、赤みが出るようであれば、すぐに中止します。おそらくその化粧品は肌に合わないので、あまり再使用はおすすめできません。
2.問題なく使っていた化粧品がピリピリしたり、しみるようになった。
⇒この場合、健康な肌ではその化粧品は問題がなかったということになりますが「肌の調子が悪いときは合わない」ということになります。
ですので、一旦その化粧品の使用をやめ
①他の化粧品に切り替える。
②1週間ほど化粧品の使用を控える。
というどちらかをおすすめします。
できればおすすめしたいのは②です。
3.初めて使用した化粧品で赤みや発疹が出た。
⇒この場合、そのまま使用を続けるのは症状が悪化したときに危険なので、1のケースとは異なり
まず、その化粧品は使用しない
ほうがいいでしょう。
その後の対応は次のいずれかです。
①1週間ほど化粧品の使用を控える。
②それまで使っていた化粧品に戻す。
ただ、赤みが出るほど肌が荒れている状態では元の化粧品に戻しても刺激が出る可能性が高いので、どうしても②を選択するときは医薬品を併用したほうが無難です。
4.いつも使っている化粧品のせいかわからないが、赤みや発疹が出た。
⇒化粧品を変えていないのに赤みや発疹が出る場合、それが化粧品のせいなのか、季節的な要因やストレスなどの環境的な要因のせいなのか、判断がつきません。
ただ言えるのは「その状態で化粧品を続けるのはよくない」ということだけです。
ですので、やはり1週間程度は化粧品の使用を控えて、肌の調子を見ていただくことをおすすめします。
どうしても化粧品を使う場合は、医薬品の併用をおすすめします。
また、基礎化粧品、メイク品の使用とともに気をつけたいのが、洗顔料の使用です。
メイクも控えられるのであれば、洗顔は水で充分です。
ポイントメイクのみであればまだいいですが、ベースメイクをするのであれば、石けんで落ちるメイク品を使用し、洗顔による肌への負担を減らしましょう。
【肌荒れの症状と市販薬の選択】
化粧品が原因かどうかはともかく、赤みや発疹が出た場合、最も安全なのは皮膚科にかかって正しい診断を受けることです。
ですが「病院に行っているヒマがない」「化粧品の肌荒れ程度でわざわざ病院にかかりたくない」という方のために、市販薬の選択についてお話しします。
●乾燥が激しく、刺激に弱くなっている
⇒乾燥がいつもよりひどい、という程度であれば「ヘパリン類似物質」が配合された医薬品のクリームやローションをおすすめします。
市販でも販売されていますが、医療用(病院から処方される医薬品)ですと「ヒルドイド」「ビーソフテン」といった商品名のものが処方されます。
これは長期使用しても問題がないので、肌が元の状態に戻るまで使用していてかまいません。
●赤みが出ている
⇒赤みが出ている、という場合は、ヘパリン類似物質では足りない可能性があるので、ステロイドの軟膏やクリームを使用します。
医療用のステロイド剤は、その強さによって5段階くらいに分類されますが、市販薬のステロイド剤はそのうち弱いほうから3段階目までしかありません。
ステロイド剤は効果が高く、きちんと朝晩使用すれば2~3日の短期使用で改善するので、市販薬の3段階目を使用したからといって副作用の心配はほぼなく、それほど選択に気を使わなくてもいいでしょう。
ただ、長期間にわたって使用しない、ということは大切になります。
ちなみに、顔の赤みなどに病院から処方されるステロイド剤は弱いほうから2段階目が一般的です(商品名でいうと「ロコイド」「アルメタ」「キンダベート」)。
●発疹が出ている。ニキビのように膿んでいる
⇒赤みではなく、発疹や、ニキビのように膿んできている場合には、できれば病院にかかることをおすすめしますが、市販薬で対応する場合には、ステロイドと抗生物質が混ざったタイプのものを選びます。
「フルコートF」や「ベトネベートN」(ともに3段階目)といったものがありますが、5~6日使っても改善しない場合は中止し、病院にかかったほうがいいでしょう。
●口の周りに水泡ができている。
⇒万能的な効果を発揮するステロイドですが、ウイルスに感染している場所に使用すると症状が悪化する場合があります。
唇やその周辺に水泡ができている場合、口唇ヘルペスというウイルス性の症状の可能性があるので、この場合は自分では対応せず、病院にかかる必要があります。
いかがでしたでしょうか。
実は「肌荒れを防ぐ」という効能効果は化粧品でも謳えますが、肌荒れに対する効果がごく弱いものであっても、これは標榜できてしまうので、化粧品広告で標榜されている「肌荒れ防止効果」はあまり当てになりません。
医薬品並みに肌の調子を整える化粧品も存在しますが、化粧品広告の規則により、化粧品は広告でそこまでのことを表現できないので、本当に肌荒れに対処できる化粧品を探すのは難しいことです。
また、化粧品は使用感などのために様々な成分を使用することが多く、そのぶん、肌に合わない成分に当たる可能性が高いとも言えます。
肌が荒れているときには「化粧品の使用をできるだけ控える」「場合によっては医薬品を併用する」ということを頭に置いておいたほうがよいでしょう。
Column:乾燥肌対策と化粧品の考え方
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