化粧品成分『リピジュア』の効果とは?
「化粧品でお肌の保湿をしたい」と思ったとき、どんな成分を思い浮かべるでしょう?
多くの方が思い浮かべるのが『ヒアルロン酸』だと思います。
たしかにヒアルロン酸はすぐれた保湿成分で、多くの化粧品に使われています。
ですが肌を保湿・保護するのに、もっとすぐれた成分がないわけではありません。
そのひとつに日油株式会社という会社が開発した『リピジュア』という成分があります。
今回はこの『リピジュア』についてご紹介します。
【リピジュアとは?】
まず、このリピジュアという成分を開発・販売している『日油』という会社ですが、化粧品原料が本業というわけではなく、医療・食品・化学品から宇宙・防衛・電子まで、幅広い事業を展開している会社で、そのルーツも100年前にさかのぼる、非常に高い技術力を持った企業です。
この日油が『MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)』という物質を開発しました。
MPCは人体の細胞膜と同じ構造を持つため、人間のからだへの親和性が極めて高い画期的な物質ですが、これをいくつもつなげたポリマーが『リピジュア』です。
※「ポリマー」とは、ある物質をいくつもつなげた(正確には「重合した」といいます)ものを呼びます。
【様々な分野で活躍するリピジュア】
わたしたちのからだの細胞膜と同じ構造を持ち、からだへの親和性が極めて高いので、リピジュアは化粧品の成分としてだけ使われているわけではありません。
その他に、次のような様々な用途で使われています。
●アイケア分野
主要国内メーカーのコンタクトレンズの洗浄・保存液に次の用途で使われています。米国食品医薬品局(FDA)からも認められたというすぐれた効果を持っています。
・レンズに汚れが付きにくくなる。
・乾燥によるレンズの変形がなくなる。
・レンズに菌が付着しにくくなる。
また、目薬にもリピジュアは配合されます。
・保水性が高まり、ドライアイを軽減する。
・目薬に含まれる防腐剤による刺激を軽減する。
●オーラルケア分野
リピジュアを配合すると、歯磨きにも特殊な効果が出ます。
・虫歯菌が歯に付着するのを防ぐ。
・歯周病菌の毒素から口の中の粘膜を保護する。
・苦みのある成分の苦味を軽減する。
口の中にコーティング膜を張るような感じですね。マウスウォッシュでも使えそうです。
●医療分野
人工心臓などの医療機器の表面コーティングや、診断薬の添加剤など多方面に使われています。
【化粧品におけるリピジュアの効果】
さて、様々な分野ですぐれた効果を発揮するリピジュアですが、化粧品成分としての有用性は何でしょう?
化粧品成分としてのリピジュアの特徴は、次の3つです。
1.高い保湿性
保湿性はヒアルロン酸の2倍。
また、肌を水で洗っても肌に残る性質があり、持続的な保湿力を発揮します。
2.皮膚の保護作用と外部からの刺激の緩和
リピジュアはポリマーであり、とても大きな物質なので、肌には浸透せず、肌の表面で保護膜を張ります。
この保護膜により、外的な刺激から肌を守ります。
3.高い安全性
もともと人体の細胞膜と同じ構造をしており、高い生体適合性を持っているリピジュアですが、コンタクトレンズや医療機器に使われるだけあり、様々な安全性試験をクリアしています。
Column:乾燥肌対策と化粧品の考え方
人のからだに近い構造と高い安全性、すぐれた保湿力、肌に膜を張って外的な刺激から肌を守る効果…。
リピジュアはまさしく『肌のバリア機能』としての効果を有した化粧品成分と言えるでしょう。
化粧品の成分表示においては「リピジュア」とは表示されずに「ポリクオタニウム-51」もしくは「ポリクオタニウム-61」などと表示されています。
「最近肌の調子がどうも安定しない…」という方にはおすすめの成分です。
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LABORATORY No.7